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[ニュース] 2019.10.08

同業他社へ転職した社員の退職金の半額返還を求めることができるか?

(同業者へ転職した場合は退職金は半分とすると会社で定めている場合)

 この問題を考えるに当たって参考となるものとして、最高裁判例があります。昭和52年8月9日最高裁第ニ小法廷判決三晃社事件です。

 この判決は、退職後、同業他社に就職した元従業員に対する支払済退職金の半額の返還請求について、本件退職金が功労報酬的な性格を有することに鑑みれば、同業他社に就職した退職社員について、退職金支給金額を通常の半分とする就業規則上の定めは、社員が就業避止義務に反するとして在勤中の功労に対する評価が減殺され、退職金の権利そのものが通常の半分しか発生しないとする趣旨のものであって、この定めは、労働基準法第3条、第16条、第24条、民法第90条に違反するものではなく有効、としたものでした。

 今回のケースについて退職金の半分返還を行うことができるかは、半額減額を定めた退職金規程の有効性にかかるわけですが、有効性の判断については本件退職金がどの程度功労報償的な性格を有するものであるかなど個別具体的な事情が明らかにならないと判断できませんが、判断に際しては上記最高裁判決が参考となりましょう。

 

 

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