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[ニュース] 2020.06.18

年俸制における降格に伴う賃金減額の当否は

 労働基準法では、減給以外の制裁については特段の制限が設けられていません。ですから、妥当性の問題はありますが、就業規則に制裁として降格の定めをすることができます。就業規則に定める警戒事由に該当した場合に降格処分をし、その結果、役職手当の支給条件に該当しなくなったために賃金総額が減少したとしても、懲戒そのものに問題がないのであれば、それは、部長や課長としての職責がなくなった結果にすぎず、減給の問題は生じないと考えられます。もちろん、仕事の中身も変えずに賃金だけを減額するなら、それは減給として労働基準法の制限を受けることになります。

 年棒制は、1年間の賃金額を業務成績評価により決めるシステムです。仕事に対する成果により賃金額を決めるのですから、部長や課長などの職責により賃金を決める役職手当とは発想を異にしています。ですから、年棒の中に役職手当という分枝を設けることはあまり意味のあることとは思いません。むしろ、年俸制としての効果が期待し得るのかの点から再検討すべきだと思います。しかし年棒制の中に役職手当を取り込むことは禁止されているものではなく、労使で自由に決めることができます。この場合も支給条件をはっきり決めて、降格による職務変更によりその支給条件に該当しなくなったのであれば、役職手当を支給しなくても約束を違えたことにならないと考えられます。この場合の計算方法は、期間の途中ですので、特段の定めがなければ所定労働日数による按分となります。

 役職手当の額も支給条件も明確ではない場合は、降格したからといって、賃金を減額する理由がないといわざるを得ません。

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