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事務所通信10月号
[ニュース] 2016.10.10
事務所通信10月号です。今月は笠岡市の秋桜です。
◇106万円の壁について
最近、ニュースなどでも取沙汰されている、年収106万円の言葉ですが、この106万円の意味についてはよく整理して理解されないといけません。所得税の扶養親族の年収は103万円(その年の年末時点)とされており、健康保険の扶養親族は130万円という基準がありました。一般的には、年収で103万円、130万円と言っていますが、健康保険の扶養基準は、正確には、恒常的な収入が、1ヵ月×12(1年)した場合に130万円を超えるようになった場合には、扶養から外れるという事になっています。(つまり、1月に10万8300円を超えるパート収入であれば、扶養からは外れる)
この基準に加えて、今月から年収106万円(=月収88,000円以上)の働き方のパートでも、社会保険加入者が501人以上の企業に勤めている場合には、自身で保険に加入しなければならない(扶養から外れる)ことになりました。
要件はあくまで、月に88,000円以上であること。そして現在は501人以上の企業で働く人のみが対象であることにご注意ください。
◇休職の取り扱いについて
企業にとって、いつまで体調不良なのか不明な従業員の取り扱いに苦慮される場合があるかと思います。
一般的な私傷病に罹って、長期欠勤の恐れがある従業員に対しては、一定期間の休職制度を適用したうえで、労働義務をその期間免除し、体調の回復に集中できる環境を提案してあげることも必要です。休職制度は労基法に規定されているものではないため、具体的な休職期間や休職する場合の要件については、企業がある程度任意に設定出来ます。当然従業員への周知は必要になります。
企業は、ノーワークノーペイの原則に従い、休職期間について賃金の支払い義務は発生しませんし、健康保険加入者が休職する場合は、休職者は傷病手当金を休職の間受給することができます。
休職期間中は、社会保険料等会社負担、個人負担ともに発生しますが、一定の収入を傷病手当金で確保しつつ、集中して療養に迎える休職制度及び傷病手当金の制度は大変有効な制度です。
◇年金受給権25年から10年への短縮について
平成29年4月から、年金受給権が現行の25年納付から、10年納付で発生するように切り替わる予定です。
年金受給はそもそも、国民年金の納付月数が300月(25年)以上ある場合に発生するものでした。基礎年金の満額は現在780,100円であり、これは20歳から60歳までの40年間保険料を掛けた場合の金額で、厚生年金はこれに加えて加入期間と加入中の標準報酬月額(=簡潔に言えば給与、賞与)に応じて年金額が決まります。25年国民年金のみ加入した場合、受給権は発生しますが、受給できる年金額は満額の約25/40の額となり、大体487,000円程度となります。
10年で受給権が発生することになると、その金額は10/40となりますので、年金受給権が発生しても、195,000円(年額)となってしまいます。この10年の間に、厚生年金が12ヶ月、あるいは1ヵ月でもあった場合は厚生年金が上乗せされますが、10年納付で受給権が発生しても、当然40年以上保険料納付している人との年金額は異なりますので、ご注意ください。なお、10年の受給権については実期間(実際に納付した月数)で判断するようです。