- ありき社会保険労務士事務所HOME >
- News >
- 労務ニュース
News
労務ニュース
[ニュース] 2017.05.19
高齢者の積極雇用について
高年齢者の雇用確保措置義務について
少子高齢化が急速に進展する現代社会においては、高年齢者をはじめ、働くことができる人すべての就労促進を図り、全員参加型社会を実現することが必要不可欠です。
このような状況を踏まえ、高年齢者がその意欲と能力に応じて働くことができる環境の整備を図るため、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」により、各企業には「高年齢者雇用確保措置」が義務づけられています。
高年齢者雇用確保措置は、高年齢者を65歳まで安定して雇用することを目的としており、その具体的な内容は以下のとおりです。
(1)定年を定める場合には、60歳を下回ることはできないこと
(2)65歳未満の定年を定めている場合は、65歳までの雇用を確保するために
①定年の引き上げ ②継続雇用制度の導入 ③定年の定めの廃止
のいずれかの措置を取らなければならないこと
企業がこれらの高年齢者雇用確保措置義務に違反している場合、厚生労働大臣による指導・助言や勧告を受ける可能性があります。
また、厚生労働大臣の勧告を受けたにもかかわらず、これに従わない場合は、企業名が公表される可能性もあります。
高年齢者を活用するにあたってのポイント
高年齢者には、長年の職業生活で培ってきた知識や経験があるので、これらの強みを十分に活かしながら働いてもらうことが大切です。
職場において高年齢者を活用するにあたっては、以下のようなポイントに配慮するとよいでしょう。
フォロー体制の構築
高年齢者を活用するにあたっては、高年齢者を常にフォローできる体制を構築することが重要です。
高年齢者はパソコンの操作などに不安があることも多く、いつでもフォローしてもらえるという安心感は、高年齢者の勤務意欲向上につながります。
また、実際に高年齢者が作業するにあたって間違えやすい部分などを盛り込んだマニュアルを作成することで、作業効率の向上につなげることもできます。
多様な働き方ニーズへの対応
労働時間や勤務日数など、高年齢者の働き方に対するニーズは様々です。
これらのニーズに対応できるよう、柔軟な制度設計をしていくことが必要となります。
必要に応じて、ワークシェアリングや短時間勤務、テレワークなどを活用していくことも有効だといえるでしょう。
肉体的変化への考慮
高年齢者は、加齢に伴って視力・聴力の低下や筋力の低下などの肉体的変化が生じます。
どのような肉体的変化が生じるのかをきちんと理解したうえで、これらに配慮して作業環境を整えていくことや、任せる仕事を決定していくことが必要です。
高年齢者が働きやすい作業環境を整えていくことは、高年齢者以外の従業員にとっても有効であり、作業効率の向上につながります。
高年齢者を雇用する企業への支援策
高年齢者を積極的に雇用する企業に対して、厚生労働省では助成金を支給しています。
高年齢者の活用を考えている企業においては、ぜひチェックしてみるとよいでしょう。
高年齢者雇用安定助成金
高年齢者の活用促進のための雇用環境整備の措置を実施する事業主や、高年齢の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた事業主に対して助成されます。
特定の「高年齢者活用促進の措置」を内容とする「環境整備計画」を作成し、計画を実施することで受給することができる「高年齢者活用促進コース」と、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する「無期雇用転換計画」を作成し、その計画に基づき無期雇用転換措置を実施することで受給することができる「高年齢者無期雇用転換コース」の2つのコースがあります。
特定就職困難者雇用開発助成金
60歳以上65歳未満の高年齢者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して助成されます。
高年齢者雇用開発特別奨励金
雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者を、ハローワーク等の紹介により、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として1年以上継続して雇い入れる事業主に対して助成されます。
65歳超雇用推進助成金
労働協約や就業規則により、65歳以上への定年の引き上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入のいずれかを導入した事業主に対して助成されます。
まとめ
労働力人口が減少していく局面において、働く意欲のある高年齢者を活用していくことは必要不可欠です。高年齢者の活用は、企業にとってもメリットがあります。
高年齢者が働きやすい職場環境を整え、積極的に高年齢者を活用していくようにしましょう。