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平成28年1月 事務所通信です。
[ニュース] 2016.01.22
事務所通信 28年1月号です。写真は、久しぶりに降った神辺の雪です。
◇年金受給権の変更について
平成29年4月から、消費税が10%に変更されることに伴い、年金の受給権が25年から10年に変更されます。
いままで、年金の受給権は国民年金、厚生年金等に25年以上加入しなければ、老齢年金の受給権は発生しませんでした。今後消費税の上昇に伴い、10年加入で年金受給権が発生することにより、今まで受給権がなかった方に受給権が発生することになります。年金受給権が発生すると、在職して、厚生年金に加入中の従業員などの場合、在職老齢年金(給与と年金の調整)の問題が発生する可能性があり、今まで年金受給権がなかった方の給与の再設計を検討する必要もあります。
また、10年受給権発生と合わせて、年金収入が低額な受給者に対して月額5000円程度の給付金の支給も検討されています。
現在年金をもらわれていない60歳以上の方については、平成28年10月頃から、請求書を送ることになっているようですで、注意して対応してください。
◇退職金の設計について
一昨年から、厚生年金基金の解散が相次いでいます。厚生年金基金を企業の退職金制度の一部として、これまで掛金を拠出された企業もあるかと思います。
厚生年金基金は、厚生年金の保険料の一部と、基金の掛け金分を基金に拠出することにより、本来の厚生年金の給付に上乗せ(運用の結果)して基金が従業員(だった方)に対して年金または一時金として支給することを目的としていました。
基本的に基金は拠出金額で運用を行い、運用益を支給する方式をとってきましが、運用の失敗により基金独自給付が支払えない状況が多くの基金で発生してしまいました。厚生年金基金の解散等に伴い、従業員の退職後の生活保障を再検討するべき時期に来ているといえます。
企業の福利厚生制度の一つとして、退職金制度は有効な制度です。退職金制度には、自社積立、中小企業退職金共済(中退共)、建退共、厚生年金基金、確定拠出年金(401K)、確定給付年金制度などがありますが、それぞれに特徴が異なるため、自社の今後の退職者の人数、将来の給付予定額、拠出額の範囲、税制の問題などを加味したうえで、最適な制度を選択することが重要です。
◇事故に見る事業の危険について
1月に入り、バスツアーでの交通事故のニュースが社会問題になっています。ドライバーの管理など企業の不備が取りざたされていますが、運送業界の恒常的な問題を感じる今回の事件でした。
以前にも、京都市で従業員が車で歩行者をはねた事件がありましたが、その後今年に入りその従業員を使用していた企業が自己破産手続きに入りました。事故被害者遺族へ5,000万円程度の損害賠償判決が出るなどしていましたが、事故に伴う取引の減少、業務の停滞が今回の破産を発生させたのかと思います。
事業運営をし、従業員を使用する以上、就業中の事故などの危険はつきものです。少しでも事故等の問題発生を防ぐためには、長時間労働の見直し、健康診断等による従業員の健康状態の把握が強く求められます。問題発生後の対応のためには、基本的なコンプライアンスの遵守が求められます。今回のバス事故に関しては、時間外協定書の未届や、健康管理不足が指摘されています。普段からの危機管理が、事故や事件の未然防止につながることになります。